Beethoven / Tetsuo Mizu

国内外にて活動を行うミズテツオの代表作「フラッグ」シリーズ

今、世界で再評価され続けている日本人画家 ミズテツオ(水島 哲雄)の代表作「フラッグ・シリーズ」のひとつ。

1944年、東京生まれのミズテツオは、モディリアーニの絵に非常に感銘を受け、生涯の師と仰ぎました。1971年、武蔵野美術学園にて絵を学びはじめ、本格的に制作をスタート。
「フラッグ・シリーズ」は海上船舶間の通信に使用される「国際信号旗」による表現手法で制作され、1980年代に脚光を浴びました。

「国際信号旗」は、19世紀半ばに、文章も含めた通信を行なう方法として制定されたもので、一つの旗は一つのアルファベットや数字に対応する仕組みになっています。
「フラッグ」シリーズは、この仕組みを元にタイトルのアルファベットを旗に置き換え、独自の世界観を持って画面を構築することで、様々な抽象作品が生み出されます。

この作品は、タイトルである『BEETHOVEN(ベートーヴェン)』のアルファベットひとつひとつを表すフラッグを組み合わせ、独自の世界観を持って構築されています。
〈図解〉
[B] [E] [E] [T]
[H] [O] [V] [E] [N]

記号をグラフィカルに変換したシステマティックな構造でありながら、歪みのある有機的な線や、筆致を残したマチエールによって、どこか深みのある抒情的な表情を感じさせる作品は、国内のみならず、欧米のアートシーンでも高い評価を受けています。