東京都生まれ。1936年、東京高等工芸学校(現 千葉大学)木材工芸科卒業後、ブルーノ・タウトが指導していた群馬県工芸所を経て、1949年に渡辺力デザイン事務所を設立。1952年にローコストの椅子「ヒモイス」で注目を集め、1956年に結成したQデザイナーズでは「トリイスツール」「リキスツール」などの考案で功績を残し、戦後日本のデザイン黎明期に改革をもたらしました。晩年は時計のデザインに傾注し、2003年に発表した自身の名を冠した「リキクロック」は氏の代表作となりました。
1956年、渡辺力デザイン事務所に松村勝男、渡辺優が加わり結成された協力・共同組織です。事務所名が渡辺力デザイン事務所からQデザイナーズに改称されましたが、1958年に松村勝男が独立、また渡辺優もブラジル行きを機にQデザイナーズを去ったため、実質渡辺力主宰のデザイン事務所となり、その後、水野信策、宮本襄、永田秀明、垂見建三、石井幹子、稲田惠、阿部紘三、小山(垂見)万喜子、篠原高徳、山本章らが所員として在籍しました。1956年に「トリイスツール」「円形テーブル」が第11回ミラノトリエンナーレで金賞を受賞、1967年には「リキスツール」を含むダンボール製家具と卓上電気置時計「キャスロン601」で第13回毎日産業デザイン賞を受賞、1972年に考案された日比谷第一生命ビルの脇に立つ「ポール時計」が広く親しまれるなど、インテリアとプロダクトの分野の発展に大きく貢献。2000年に渡辺力が引退し、自然解散となりました。
1976年から雑誌『室内』で氏が連載していた「ハーマンミラー物語」を改稿し、まとめた一冊です。リアルタイムでその時代を生き、イームズをはじめとするデザイナーとの交流があった著者しか書くことのできない資料性の高い傑作です。
1930年代の黎明期から現在に至るまでの活動をエピソードを交えて紹介しています。 作品の紹介や対談の他に、研究対象のひとつでもあったシェーカー家具についても収められた貴重な一冊です。
佐山一郎氏が25人のクリエイターとの対談をまとめた一冊です。渡辺力氏もフリーランスとしての出発点となった事務所開設やQデザイナーズの話、最も影響を受けたデザイナー チャールズ・イームズについても語っています。
日本のプロダクトデザイン界を支える7人のデザイナー、渡辺力、柳宗理、剣持勇らが50~60年代にデザインし、現在も生産されているロングセラー製品を取り上げています。プロフィールなども収録されています。