古来より日用品に使われてきた琺瑯を用いました。ガラス質による艶やかなディティールが特徴です。

琺瑯の製造工程の中で、「素地」と呼ばれる鉄板の成形工程では、金属板を回転させながら「へら」と呼ばれる棒を押し当てて少しずつ変形させる「へら絞り」という町工場の技術の粋を用いて製作しています。

一般的な琺瑯製品は、補強や歪み防止のために口縁部を外に巻く加工を施しますが、Curlはこの口縁部の巻きを肥大化させ、フォルムと一体化させることによって生まれる曲線に着目。琺瑯の職人と共に「素地」の形状や厚みを探っていきました。

内側と外側がゆるやかに反転しながら反りかえる形状は、古来から日本の風景をつくってきた神社仏閣の屋根がモチーフ。日本人の記憶の底に刻まれている富士山の裾野も連想させます。