ロビン・デイ / 1915-2010
イギリス、バッキンガムシャー生まれ。
妻であるテキスタイルデザイナー、ルシアン・デイと共に大衆的なモダンデザインを世に広めた、20世紀のイギリスを代表する家具デザイナーです。
Born in Buckinghamshire, England. Robin Day graduated from the Royal College of Art in 1939. Robin Day and his wife, textile designer Lucienne Day, are celebrated for bringing popular modern design to Britain.
© Robin & Lucienne Day Foundation
当時イギリスの家具産業の中心であったハイ・ウィカムで、工房や工場に囲まれて育ったロビン・デイ。
ものづくりが大好きで、特に絵を描くのがとても上手な少年でした。地元の美術学校とロンドンのロイヤルカレッジオブアートで家具デザインを学び、1939年に卒業。
その後は主に展覧会やグラフィックデザインの仕事に携わっていましたが、1948年にニューヨーク近代美術館〔MoMA〕によって開催されたローコスト家具デザインコンペティションで、同僚とともに応募した「ローコスト ストレージユニット」が大賞を受賞したのをきっかけに、モジュール式の家具に強い関心を抱くようになりました。
© Robin & Lucienne Day Foundation
ローコスト ストレージユニット
プレゼンテーションパネル
Presentation panel 1 (Storage Units:Theory and Perspectives), designed by Robin Day and Clive Latimer, submitted to the International Low-Cost Furniture Design Competition at the Museum of Modern Art, New York, 1948
そして、家具デザイナーを夢見ていた彼に大きな転機が訪れます。
1951年にロンドンで開催されたフェスティバル・オブ・ブリテンで開業する、ロイヤルフェスティバルホールのすべての家具デザインを手掛けることになったのです。
ここから、家具デザイナーとしての長いキャリアを積んでいくことになります。
© Robin & Lucienne Day Foundation
ロイヤルフェスティバルホール ラウンジ
Royal Festival Hall Lounge Chairs, designed by Robin Day, produced by Hille, 1951, in situ at the Royal Festival Hall, 1951
ハンス・J・ウェグナーをはじめとするデンマークデザインの優雅さと、チャールズ&レイ・イームズといったアメリカの先進的なデザインから影響を受けたデイは、このような言葉を残しています。
彼のデザインへのアプローチは謙虚で実用的なものであり、彼にとって美しさとは実用性を満たすファクターでした。機能や構造は隠すべきものではなく、表現し、賞賛されるべきものと考えていたのです。
© Robin & Lucienne Day Foundation/photo:John Pantlin
© Robin & Lucienne Day Foundation/photo:John Pantlin
世界大戦中に飛躍的に発展した新素材や大量生産が可能な製法などが、家具の分野で応用されるようになったミッドセンチュリー期。
1949年から長期にわたり、ロンドンのイーストエンドで創業したイギリスの老舗家具製造メーカー「Hille」の家具デザインのほとんどを手掛けることになったデイは、同社の家具コレクション拡大のなかで様々な技術革新を行っていきます。
© Robin & Lucienne Day Foundation/photo:Amos Marchant
ヒルスタックチェア/1951年
Hillestak chair, Robin Day, Hille, 1951
1950年代後半には、従来のコイルスプリングの代わりにラバー製のウェビングテープを採用した「ガトウィックチェア/1958年」や「シェブロンチェア/1959年」を発表。「フォームグループ/1960年」ではウェビングテープを装飾として露出させるほど、この構造を好んで製品に採用しました。モジュール設計を取り入れた柔軟なシステムであるフォームグループは当時最も先進的な家具として評価され、1961年にデザインセンター賞を受賞しました。
実用性と構造を表現し、美しいストライプ模様を作り出すウェビングテープを用いた設計は、まさに彼のデザインアプローチそのものと言えるでしょう。
© Robin & Lucienne Day Foundation
フォームグループ/1960年
Form Group modular seating and tables, Robin Day, Hille, 1960
また、この頃になると、デイはポリプロピレンの可能性に着目します。ポリプロピレンは安価な素材ながらも加工や成形の前例が乏しく、加工機械を調達するにもコストが非常に高かったため、当時としては先駆的な試みではありましたが、素材の可能性を模索するデイの挑戦を「Hille」が支援し、20世紀を代表するマスターピースが誕生します。
それが世界初のポリプロピレン製チェアです。多くのカラーバリエーションと様々なベースを選択できるこの革新的なチェアはすぐさま大成功を遂げ、世界中で1400万脚以上を販売する大ヒット商品となりました。
デザインによるクリエイティブのみならず、開発における素材や構造の技術革新を実現し、イギリスで最も革新的な家具メーカーとしての「Hille」の地位を確かなものとしたロビン・デイは、当時のモダンデザイン界を牽引する旗手として20世紀を代表するイギリスの家具デザイナーの1人として知られるようになりました。
© Robin & Lucienne Day Foundation
ポリプロピレンチェア/1964年
Polypropylene chair, 1964, and Polypropylene armchair, Robin Day, Hille, 1967, on various pedestal bases
デザインによるクリエイティブのみならず、開発における素材や構造の技術革新を実現し、イギリスで最も革新的な家具メーカーとしての「Hille」の地位を確かなものとしたロビン・デイは、当時のモダンデザイン界を牽引する旗手として20世紀を代表するイギリスの家具デザイナーの1人として知られるようになりました。
© Robin & Lucienne Day Foundation/photo:Amos Marchant
ヒルスタックチェア/1951年
Robin & Lucienne Day Foundation
© twentytwentyone, photography by Mark Whitfield
658ラージモジュールチェア/1951年
675チェア/1952年
リクライニングチェア/1952年
© Robin & Lucienne Day Foundation/photo:Cordon McLeish
ガトウィックチェア/1958年
© Robin & Lucienne Day Foundation
シェブロンチェア/1959年
フォームグループ/1960年
© Robin & Lucienne Day Foundation
ポリプロピレンチェア/1964年
© Robin & Lucienne Day Foundation
photo:
John Rose & John Dyble
シリーズ E スクールチェア/1971年