使う 飾る ガラスの器

展示会初日に開催された、平 勝久さん(スタジオプレパ)と高梨 良子さんによるギャラリートークのレポートです。
今回の企画である《使う》ことと《飾る》こと、また、その作品や込められた思いなどをお伺いしました。これがお二人の作品をより深く知るためきっかけになれば幸いです。

メトロクス(以下:M):今までの簡単な経歴と作家になった経緯を教えてください。

studio prepa 平勝久さん(以下:P):作家と呼ばれるようなことをやっていないので照れくさいですね(笑)。もともとはやっぱり好きというところです。国内に自分で作りたいと思うようなガラスの器を作っているところがなかったので、自分で作ろうと思ったのがスタートです。
細かいディティールの部分まで、自分で思い描いたものを作る為に工房を構え、デザインから制作まですべてを妻と二人で行っています。
現在はメトロクス含め、インテリアショップなど様々な会社と一緒に仕事をさせて頂いています。

高梨良子さん(以下:T):モノを作ったり絵を描くのが好きな子供でした。中でも透明のものが好きで、気になる素材だとずっと思っていました。たまたまテレビでガラスの風鈴を作っている番組がやっていて、やってみたいなあ、さわってみたいなあ、と思ったことを覚えています。

美術の短大へ進み就職を控えたとき、先生にガラスをやってみたいということを相談したところ、偶然先生が講師を勤めていた、東京ガラス工芸研究所を紹介していただくことができました。そこでガラスを勉強するうちにどんどんはまっていきましたね。
卒業後もガラスの仕事がしたいと思っていたところ、たまたま徳島ガラススタジオというところに求人を見つけたんです。そこで4年間アシスタントとしていろんなことを勉強させてらうことができたと思っています。その後、富山ガラス工房勤務を経て2007年に独立して自分の窯をもちました。今年で4年目なのでまだまだ未熟ですが、楽しくやっています。

studio prepa・平勝久さんと高梨良子さん

M:お二人は同じ東京ガラス工芸研究所出身ですね?

P:当時はガラスを勉強できるところも多くなくて、中でも一番カリキュラムが充実していたから選んだのですが、実は学校じゃなくてびっくりしました。
定期券が学割で買えなかったので(笑)
そこは美術館のガラスの修復なども手がけていたので研究所という側面が大きかったです

T:一年目、二年目、研究科というカリキュラムでした。私が1年の時、平さんが研究科に在籍されていました。研究科の方々は雲の上の存在みたいでしたね。

P:僕が研究所にいた頃に、ちょうど立派なガラス作家の先生方が国内に工房を持ち始めたという時代でした。週末になるといろんな工房に行って手伝わせてもらったり、海外から有名な作家がくるとそのアシスタントをしたりしていました。
時間を一秒も無駄にしたくなかったので、長い夏休みも電気炉の修理やメンテナンスなどをやっていましたね。

T:生徒なんだけど先生みたいでしたよね。仕事ばっかりしていたように見えました。

P:いろいろことに関わることが出来たので、そのまま学校に行かなくなりました。辞めちゃったというか、いなくなったというか。

M:研究所には平さんみたいな人がたくさんいらっしゃったのですか?それとも平さんは特別な人でしたか?

T:いや、特別でしたね。平さんの同級生の方はみなさん個性的で志も高かったですね。

高梨良子さん

高梨 良子さん

M:高梨さんに質問です。
高梨さんの作品は【縞】というシリーズが特徴的だと思います。どういうところから生まれたのか、また制作について教えてください。

T:小さい頃から祖母が昔の着物の端切れで袋を作ったりしているのをよく見ていました。着物に使われる模様で【縞】というものもあり、他にも素敵な配色の古い布がたくさんありました。
【縞】という名前は後付けですが、その影響を受けて無意識に縞状の模様を作っているのではないかなと思います。それに気がついてからは意識して作るようになりました。

M:平さんに質問です。
一人の作家ではなく、 studio prepa という形態をとっている理由とそのメリットやデメリットがあれば教えてください。

P:デメリットは夫婦喧嘩していると形がゆがむことですね(笑)
吹きガラス自体は2~3人での制作が一番効率的だとされています。僕らは形を紙の上で決めてから制作に入るという風に、完全に工程を切り替えて作業を行なっています。集中力を持続させることができ、かつ合理的な時間の使い方が出来るところが2人で作業するメリットですね。一人でやるより効率的です。
技術も工程も一番シンプルで基本的なものです。

T:国内で一人で活動している作家さんは意外とすくないかもしれませんね。夫婦、もしくはアシスタントに手伝ってもらっている方が多いと思います。

studio prepa・平勝久さん

studio prepa・平 勝久さん

M:実際に「使う」ことと、インテリアとして「飾る」という二面性を持つ器、という今回のコンセプト。制作するにあたって意識したこと、またそれについて最近意識するようになったことなどがあれば教えてください。

T:ここ数年は、うつわ屋さんを通してお店やホテルに納品することが増えました。そういったときに、今までは自分だけの世界で作っていた器のサイズやイメージが、実際にそこに置かれると違うんだよ、ということを教えてもらうことができて、それは本当に勉強になっています。
実際に使われる先のこと、お店やシチュエーション、サイズやお料理を考えて作るようになりましたね。お皿でも重ねるときれいに模様が見えるとか、いろいろな模様を重ねると立体的になって横から見ても面白いとか。そういったことができることが手作りの面白さでもあると思います。
最近はそういうことを理解して、少しずつものづくりが出来てきているな、と感じています。

P:飲み口、香りなど機能を大切にする面と、視覚的に美しい面を気にしながら、大事な道具として淘汰されないようなものを作ることを心掛けています。

M:ご自身の器を使う方々にひとこと!

P:道具としてどんどん使ってもらいたいです。例えば、同じ飲み物でも違う器を使えば違う風に見えたり、おいしく感じたり、また逆だったり。常に新しい発見があります。

T:「何かを盛り付けたくなるような、使いたくなるような器」をコンセプトに作品を作っています。それは、器が100%なのではなく、使う方が最後に食べ物を盛り付けて初めて完成する器だと思っています。入れたものがどういう風に見えるとか、使い方も想像を膨らませてオリジナリティある使い方をしてもらいたいです。

P:例えばグラスだったら、ちょっと足りないな、くらいでいいと思うんです。最後に液体を入れた線が入ると完成する、みたいな。

T:そうですね。でもそれは器を使って頂かないとわかりませんからね。
食べることで楽しめる。生きて行く上で食べることは大事ですから。

studio prepa・平勝久さんと高梨良子さん

M:ありがとうございました。

2011年5月28日 メトロクス東京にて