

早稲田大学の陶芸サークルで益子焼に出会った鈴木さんは、高内秀剛氏に師事し、修行の後、1996年益子町芦沼に築窯しました。
陶芸作家として、益子焼の技法を追求する一方、伝統的な釉薬である柿釉(かきゆう)や糠白釉(ぬかじろゆう)を使いながら、モダンな柄をあしらった、美しく実用性を意識した器を制作するなど、日常に使える器としての益子焼の新しい姿も提唱しており、注目されている作家です。
鈴木 稔さん制作による益子焼。先日、その窯元を訪ねてきました。 残念ながら鈴木さんは、8月から9月にかけて展覧会やワークショップを催すため、北欧諸国(デンマーク・スウェーデンなど)を訪問の最中でご不在でしたが、奥様に工房や登り窯などを案内して頂きました。
益子町の中心から車で約10分程度行った、静かな場所に自宅と工房を構えられ、制作を行っております。
虫の鳴き声しか聞こえない静かな場所
主が不在の工房には、静寂のなかでゆっくりとした時間が過ぎているような雰囲気を醸し出しつつ、既に制作され、窯で焼かれる準備が整った皿やカップが静かに主の帰りを待っていました。
主のいない静かな工房
そんなひっそりとした工房のなかには、現在、鈴木氏の制作の際、使用している成型用の型の数々がおびただしいほど並んでいます。
奥様曰く、『本人も何種類の型があるのか把握していない』のではないかと。『型の制作には、時が経つのも忘れて、いつまで経っても工房から家に戻ってこないことが度々ある』のだとか。
成型用の型がそこかしこに
工房の脇には、登り窯とガス窯が備えられ、制作するものに合わせて、使い分けているそうです。
火を入れる時にはどこからともなく陶芸仲間が集まり、皆で作業をするそうです
陶器制作が盛んな益子でも個人で登り窯を所有し、作品を生み出している方々はそれほど多くないとのこと。
主が戻ったら直ぐにでも焼かれる作品達
ガス窯の傍らには、なにやら動物の爪の先のような奇妙な物体が幾つも並んでいます。
私が不思議そうにそれらを眺めていると、『窯の内部の温度を計る際に使うもの』だと教えてくださりました。(最初は、曲がっていなくまっすぐな状態だが、ある一定の温度に達すると弓なりに曲がってくるらしいです)
爪状のものが幾つも並んでいる
陶器に関しては、まだまだ初心者な私にとっては、こんな小さな(?)ことでも、ひとつひとつが新鮮なことばかりです。どのような環境で、どんな道具を使って、作家の方は作品作りをされているのだろう、と興味を持つことで、出来上がった商品(あえて、そう呼ばせて頂きます)をあらためて手にとってみるとまた違った印象が浮かんできます。
これからもMETROCSでは、新しいクラフトのかたちとして、様々な地方、色々なデザイナーや職人の方達との出会いを大切にし、皆様にご紹介して参ります。
江戸時代に大塚啓三郎が窯を築いたことに始まり、民藝運動を推進した濱田庄司により質の高い日用品の陶器として知名度を高めました。重厚な色合いと温かみのある風合いが特徴です。
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